感覚派アスレティックトレーナー  身体と会話する日々
マッサージ師、鍼師であり、アスレティックトレーナーでもあるフィジカル系職人が、身体について、スポーツについて、その他よしなし事について綴る、教養系?ブログ
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

腸腰筋について 3
ここからは、違う観点から腸腰筋について考えてみます。

私は、中学2年から大学時代を通じてずっと陸上競技をしていて、
トレーニングとして腹筋運動をよくやっていました。
Sit up(上体を起こす腹筋運動) をやる時、
後ろに体を倒した時に背中が床(地面)に着くと楽だが、
背中を床(地面)につけないで途中で止めてまた起き上がる方がきついとも
よく言われていたので、背中を床(地面)に着かないようにやったりもしました。
時には5kgのおもりを胸に抱えてやったりしました。

また、高校~大学時代は
仰向けに寝た状態で膝を伸ばしたまま両脚を持ち上げる脚挙げ腹筋や、
V字腹筋などもよくやりました。

こうした 「腹筋運動」 をやった後は、
腹筋よりも腰~臀部の奥が疲れて張りが出ました
その疲労が積もりつもって、
いつも臀部の奥の辺りに重苦しい感じがするようになり、
よく臀部を握りこぶしで叩いたりしていました。

それが、当時は不思議だったのですが、
29際の頃専門学校に行き始めて解剖学を勉強して腸腰筋を知った時、
その謎が解けたように思いました。

Sit up は起き上がり出して上背部が持ち上がるところまでは
腹筋群の力で起きますが、
下背部(横隔膜の辺りから下)が床から離れて持ち上がるときからは
腸腰筋主体へとかわります

ですから背中を床に着けないようにSit upをやると
腸腰筋を鍛えていたことになります。
脚挙げ腹筋(よく「下部腹筋」を鍛えるなどと紹介されている)やV字腹筋も
腸腰筋主体で行なわれる運動
です。

 sit upに参加する筋   脚挙げの力のモーメント 脚挙げに必要な力
            (上体を40kg、脚を20kgとした時)
(上の図3点:『目でみる動きの解剖学 新装版』R.ヴィルヘード著、
金子公宥・松本迪子訳、大修館書店 より)

つまり、私は腹筋を鍛えているつもりで腸腰筋ばかりに負荷をかけていたので、
腹筋よりも腰や臀部が疲労して短縮していた
のです。
さらに言えば、これらの「腹筋運動」では、
腸腰筋が短縮した位置(姿勢)で働かされています。
筋は縮んだ位置では発揮できる力が弱くなります。              ※1
ですから、腸腰筋は力が出にくい位置で強い負荷をかけられ続けていたわけです。
こうして、ストレッチされることの少ない腸腰筋は短縮してしまった         ※2
ということになります。

これは私だけが経験したことではなく、
多くのアスリートやスポーツ経験者が経験してきたことであり、
そして今も多くの方が経験していることでもあります。
腰痛には腹筋を鍛えることが有効と言われていますが、
腹筋のつもりで腰痛の大きな原因の一つである腸腰筋に大きな負荷をかけ
予防のつもりが返って腰痛を起こしたり腰痛を長引かせたりすることもあります


ここで、注目してもらいたいのが、
腹筋トレーニングのつもりで腸腰筋を酷使し、
その結果腸腰筋の緊張が強くなったのだとしても、
筋の張りが腰椎の周囲だけではなく、
臀部にも張りが出て重苦しい感じがしていた
ということです。
いや、むしろ臀部の方がつらかったことの方が多かったのです。

これは、以前考察したように、
腸腰筋が他の股関節周囲の筋と共同・協調して
下部脊柱・骨盤・股関節という人体の中で重要かつ強大な力のかかる部位の
固定・安定を担っていることと関係している
のでしょう。
つまり、腸腰筋が酷使されていたということは、
同時に臀部の筋をも酷使する結果につながっていたわけです。
私は、臀部の筋の中でも、中殿筋と梨状筋を重視していますが、
腸腰筋とともにこの2つの筋が緊張・短縮しているケースが非常に多く、
これらの緊張・短縮が同時期に起こることは、むしろ自然なことなのだろうと見ています。

 中殿筋・梨状筋


私は、腰痛の治療をはじめ、全身をマッサージする上で
腸腰筋を重視していますが、
腸腰筋は背部というよりも腹部の奥にあり、
その下部~腱も鼠径部から大腿の前内側の深部を通っていて
深部に力を及ぼすマッサージをするとはいえ、
直接的にはもちろん間接的にでも十分マッサージすることはできません


それを補って、腸腰筋の緊張を弱める効果があるのが、
実は骨盤外側~後部の筋(中殿筋梨状筋など)のマッサージなのです。
骨盤・股関節周囲のマッサージで中殿筋や梨状筋などが弛緩してくると、
腸腰筋も弛緩してくる
のです。
(これら、骨盤外側~後部の筋については、また後のエントリーで書いてみたいと思います。)
ですから、私は腰椎両傍よりも骨盤上(下部腰部・臀部)の筋のマッサージを
腰痛に対するマッサージのメインに位置づけています。

 臀部マッサージのエリア01  臀部マッサージのエリア02  骨盤上のマッサージ・エリア

そして、腸腰筋そのものには、
ストレッチングをしてあげることが大変に効果的です。
(ストレッチングについては、次回にでも書きます。)

私が陸上競技の中長距離選手だった大学時代、
仲間同士でマッサージをしたものでしたが、
骨盤上の仙骨すぐ脇のところともう少し外側のところに、
非常に硬くて推されると誰でも痛がるところがあることは知っていました。
あまりに痛いが故に、そこは推させない、推さないところとなっていました。
しかし、今考えると、そこは重要なマッサージポイントだったのです。
そのことを知っていれば、大学での陸上競技生活は、
違ったものになっていたのかも知れません。


※1 筋は縮んだ位置では発揮できる力が弱くなる

筋は、その長さが変わると、発揮できる力の大きさが変わる。
最大の力を発揮できる長さがあり、それよりも伸びていても縮んでいても
発揮できる力は小さくなる

筋はふつう関節を動かす役目を持っているから、
関節を伸ばす筋であれ曲げる筋であれ、
その関節の動く範囲(能動的な関節可動域)の中間よりも
少し関節角度が大きい位置での筋の長さ(中間よりも少し長い)の時、
一番大きな力を出すことができる。
Sit upや「脚挙げ腹筋」や「V字腹筋」の時、
腸腰筋の長さは中間よりも短いところで行なわれることが多い



※2 ストレッチされることの少ない腸腰筋

真に腸腰筋を伸ばすことのできるストレッチングを
スポーツ現場であれ本であれ、ほとんど見ることがない。
セルフ・ストレッチングでは、私が勧めるのは
大修館書店刊の「柔軟性トレーニング その理論と実践
(クリストファー.M.ノリス著、山本利春 監訳、吉永孝徳/日暮 清 訳)の
エクササイズ32、33であり、
パートナー・ストレッチングについては、後のエントリーで紹介したい。


↓この記事に共感したり役立つと思った方は、クリックにご協力ください


(このエントリーは、2010年12月23日に一部手直しをしました。)
スポンサーサイト

テーマ:スポーツ医学・コンディショニング - ジャンル:スポーツ



FC2カウンター



プロフィール

フィジカル系職人

Author:フィジカル系職人
職業:マッサージ・鍼治療院経営
   アスレティックトレーナー
生息地:群馬
本名:佐藤 暢彦

身体のこと、治療のこと、スポーツのこと、などなど。日頃考えていること、興味を持っていることについて、書いていきたいと思います。

このブログについて:更新作業は治療室内のMacで行なっていますので、早朝や深夜、休業日の木曜に更新されることは基本的にありません。



最新記事



最新コメント



最新トラックバック



月別アーカイブ



カテゴリ



FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking



検索フォーム



RSSリンクの表示



リンク

このブログをリンクに追加する



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



QRコード

QRコード





上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。