感覚派アスレティックトレーナー  身体と会話する日々
マッサージ師、鍼師であり、アスレティックトレーナーでもあるフィジカル系職人が、身体について、スポーツについて、その他よしなし事について綴る、教養系?ブログ
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コンディショニングとしてのアイシング
最近は、サッカー関連でエントリーを書くことが
比較的多くなっていますが、
今回もデンマーク戦の勝利に関連して、
思いついたことを書きます。

実は、日本有利の状況であった割には、
私はデンマークに負ける可能性の方が大きいと思っていました。
予想に反して日本が勝った主要因の一つに、
日本代表選手の身体的コンディションが良かった点が
上げられる思います。
そこで、その点について、
私の別ブログ『答えは身体が知っている』に書いた記事を
こちらに一部書き直して転載してみようと思います。
語尾はこちらのブログにあわせて「です・ます調」に変えました。

ー(原題『サッカー日本代表のコンディショニング』)ーーーーーーーーーーーーーーー

スポーツ・運動の後には、クーリングダウン
疲労回復やコンディショニングのために大切であることは知られています。
そのクーリングダウンの方法にアメリカから取り入れた手法が
スポーツ界では取り入れられ始めています。
それは、運動後、筋肉をできるだけ早く冷却してしまうという方法です。

筋肉冷却というと、
野球の試合後にピッチャーが
肩などをアイシングしている姿を思い浮かべるかも知れません。
運動後のアイシングなど、
もうずいぶん以前から取り入れられているじゃないかと
思うかも知れません。
しかし、あのアイシングとは似ているところもあれば、
目的や性質が全く違うのです。

運動後のアイシングは、以前ケガをしたことのある部位や、
ピッチャーの肩など傷害の発生しやすい部位を
予防的に冷却しようというもの
です。
僕が紹介するのは、そいいった局所を冷却するのではなく、
できるだけ使った筋肉全体(全身)を冷却してしまうというもので、
それによって疲労回復を速くするという目的で行うものです。


実は、筋肉は激しい運動後にクーリングダウンをしても、
筋温(筋肉の温度)は数時間も上昇したままで、
なかなか下がってこないのです。
筋温が高いということは、                           ※1
筋肉内の細胞の代謝が上がったままであるということであり、
それは筋肉内により多くの酸素を必要とするということです。
酸素が必要もない高い細胞活動(<代謝)に使われ、
筋肉内の余分な乳酸を分解するのに必要な酸素が不足し、
なかなか筋肉内の乳酸を減らせないということになります。
その他、代謝が活発に行われていることによって、
壊れた筋肉細胞の再構築が遅れることになります。
これも、必要な酸素・栄養(アミノ酸等)・エネルギーが
必要もない代謝熱産生などに使われたり効率が落ちるからです。

そこで、氷や水を使って運動後速やかに筋温を下げてやると、
休憩中に筋肉内の乳酸濃度がより下がったり、
休憩後の再運動の運動量が下がりにくくなる(疲労した/回復した)
などのことが実験でもわかってきています。

具体的には、運動後できるだけ早くそして短時間で効率よく冷却するため、
浴槽や大きなポリバケツ等、
身体や下半身を浸せるような大きな容器に水と氷を入れ、
そこに全身や下半身を3、4分~7、8分程度浸して冷却する
のです。       ※2
そのような大きな道具がない時は、
アイシングの時のようなアイスパックを作り、
それで筋肉の上を擦るように振り動かしながら
大きな範囲を移動させていく
アイスマッサージを行うこともあります

ストレッチングなどは、その後に行えば良いのです。

こうしたクーリングダウンに利用するアイシングは、
その日の最後の運動後に行うだけでなく、
午前・午後と二部練習があるときなら、
それぞれのクーリングダウンに行なっても(行なった方が)良いのです。
あるいは、サッカーであれば試合のハーフタイムの時に
2~3分でも良いからやることで、
後半の疲労を軽減できます
(可能性があります)。                ※3

私がこの方法をはじめて知ったのは、10年ちょっと前だったでしょうか、
陸上競技関係のトレーナー国際武道大学山本利春先生)の話からでした。    ※4
山本先生がアメリカの陸上競技会で
そうしたアイシングを行っている現場を目にし、
興味を持って研究を始めたそうです。
山本先生の元で科学的に実験をして、                      ※5
疲労軽減/回復効果が認められているそうです。
何年も前から、関東インカレなどで各大学が行うなど、
陸上界ではよく目にするようになりました。
群馬でも高校生が競技会のレースの合間(後)などに
屋外の水飲み場で流水によって足を冷やしているのを目にします。
(私はこれについては何も教授や関与をしていません。
 水道水は効率が悪いし、エコじゃないですから。)


実は、私は一昨年か昨年かに、
テレビで(?)サッカー日本代表がスタジアムのロッカールーム(風呂場)で
このアイシング(氷水の風呂)をしているらしい映像を見た覚えがあります。
監督が誰だから~ではなく、
メディカルスタッフ(特にアスレティックトレーナー)には
こうした最新の知識があるから、
代表選手のために取り入れたのでしょう。
このクーリングダウンとしてのアイシングが、
あるいはハーフタイムでの筋肉アイシングが、
このワールドカップでも日本代表表選手に行われているのではないかと
想像しています。




※1 筋温が高いということは、~

この段落でのこの文以下の説明には、
幾分断定的に言ってしまうべきでないこともある。
何故なら、運動と運動の間(第1運動の直後)に筋をアイシングをすると、
全運動後の血中乳酸が低くなることも
アイシング後の運動での運動量の低下が押さえられることも
実験で報告されているが、
その理由については推定に過ぎないからである。
その点は注意してもらいたい。

なお、この記事で書いた文の内容は、
例えば山本利春先生の文章を読んで書いた部分があっても、
その内容は私の記憶や解釈、さらに僕の考察が含まれていて、
山本先生の研究およびその報告そのままの内容と言う訳ではない。


※2 大きな容器に水と氷を入れ~全身や下半身を3、4分~7、8分程度浸して冷却する

実はここに書いた時間は適当である。
筋肉は表面だけ冷えても、深部から熱を産生している限り、
冷却を止めればすぐに高温となる。
しかし、冷やし過ぎ(時間が長過ぎ)てもいけない。
通常のアイシングよりも短く済ませることが大切である。
冷却方法や選手の体格・筋量、耐寒性などを考慮して、
色々と試した上で個々のケースに最適な時間を割り出すべきである。
まあ、とりあえずは冷却の中は3分以内、
アイスマッサージは5分以内を目安として始め、
それを個々の判断で増減していけば良いのではないだろうか。


※3 サッカーであれば試合のハーフタイムの時に~(可能性がある)

実験では効果の出る可能性が高いことがわかっていても、
個人差があるので何でもその通りになると思っては困る。
試合で粋なる試してみるなどというのは
リスク管理ができない悪例である。
必ず、ゆとりのある練習時などに行ない、
適する方法や時間などを選手一人ひとりに掴ませた上で
試合時に適用するべき
である。


※4 私がこの方法をはじめて知ったのは、山本利春先生の話から

こう書きはしたが、講演で聞いたのかどうか覚えていない。
もしかしたら、著物を読んだのかも知れない。


※5 山本先生の元で科学的に実験

山本先生が『トレーニング・ジャーナル』誌(ブックハウスHD)に
連載していた『現場に役立つ測定・評価の実際』のタイトルリストの最後に、
運動後のアイシングの効果を測る
  ―クーリングダウンとしてのアイシングがパフォーマンスに及ぼす影響―
(1998年5月号)と言うタイトルの回があります。
この中に実験の内容が紹介されていると思われます。
また、「からだを冷やせ!」と題したPDF書類の真ん中辺りの
コンディショニングとしてのアイシング?>という項では
クーリングダウンとしてのアイシングの効果を調べた
実験結果(恐らく山本先生の実験)について
簡単に説明してある。
(同PDF書類は『トレーニング科学研究所』の「Library」を開き
 ”アイシング”をクリックすれば見られる。)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

とても、簡単な方法ですので、
高校生以上のアスリート、スポーツの指導者御さん方に
是非知っていていただきたいと思います。
最もこの方法に詳しいのは、文中で紹介した山本利春先生だと思います。
先生の書いた書物、雑誌等の掲載文、論文等を探して読むと
より適切な方法がわかるのではないかと思います。
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テーマ:2010年FIFAワールドカップサッカー - ジャンル:スポーツ



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プロフィール

フィジカル系職人

Author:フィジカル系職人
職業:マッサージ・鍼治療院経営
   アスレティックトレーナー
生息地:群馬
本名:佐藤 暢彦

身体のこと、治療のこと、スポーツのこと、などなど。日頃考えていること、興味を持っていることについて、書いていきたいと思います。

このブログについて:更新作業は治療室内のMacで行なっていますので、早朝や深夜、休業日の木曜に更新されることは基本的にありません。



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