感覚派アスレティックトレーナー  身体と会話する日々
マッサージ師、鍼師であり、アスレティックトレーナーでもあるフィジカル系職人が、身体について、スポーツについて、その他よしなし事について綴る、教養系?ブログ
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ベアフットランニング リーバーマンの主張は変!? vol.6
ダニエル・E・リーバーマンは、
rearfoot strikeに見られる二峰性地面反力について、
最初に現れる急激な地面反力のピークを
ランニング障害の原因ととらえ、
このピークの見られないbarefoot-forefoot strikeの方が
安全だと考えているようである。
しかし、私はrearfoot strike接地衝撃
ランニング障害の危険性を高めるとは思っていない。


スポーツ医学(整形外科)の権威中嶋寛之ドクターによって
スポーツによる怪我はスポーツ外傷スポーツ障害に分類された。
外傷とは一度の外力によって起こる怪我であり、
骨折脱臼捻挫などが挙げられる。
障害とは、数百数千数万と数多く繰り返される
外力によって起こる怪我である。
ではリーバーマンが問題視している
rearfoot strikeにみられる最初の急激なピーク(接地衝撃)は
スポーツ外傷を引き起こす程大きいと言えるだろうか?

外傷は一度の外力で怪我を引き起こすわけだから、
短い時間内に加わる力の大きさが
発生のリスクを左右する。
リーバーマンの言う”接地衝撃”は、
20ms(2/100秒)という短い時間で足裏に伝わるが、
体重の1.5~3倍程度の力では
足や下腿の骨折脱臼靭帯損傷肉離れ等の外傷
起こることは考えにくい。
短距離走ではそれを遥かに超える力が
同様の時間内に足にかかっているが。                       ※1
外傷としては肉離れが時々見られるくらいだが、
スピードの遅いランニングでは普通起こらない。
だから、長距離ランニング(ジョギング)の”接地衝撃”で
外傷が起こるリスクは低い。

それでは、(ランニング)障害はどうであろうか?
これは下肢の筋力・柔軟性や靭帯などの組織の強さと
走行距離との相対的な関係が問題となる。
要は、自分の能力に見合った距離から走り始め、
下肢の強化を図り柔軟性を維持しながら、
徐々に走行距離を伸ばしていくことで
障害発生のリスクを低く抑えられる。                       ※2
そうであれば、
リーバーマンbarefoot-forefoot runningを推奨する人達が、
推奨していることと同じである。
つまり、barefoot-forefoot runningを始める時、
最初のうちは短い距離から徐々に下腿の筋を慣らしながら
走行距離を増やすことを推奨しているようなのだ。                 ※3
何のことはない、
barefoot-forefoot もやはりランニング障害のリスクがあることを
自ら語っているではないか!
それなのにreafoot strikeは危険で
barefoot-forefoot strikeは安全などと結論づけるのは
全く科学者とは思えない。

接地期にトータルでどれだけのエネルギーが加えられたかの方が、
障害のリスクを考えたら影響が大きいと考える。
だから、力の大きさと時間をかけた力積の方が
単に力の大きさを比べるよりも重要だろう。
力積というのは、リーバーマン論文の図1のグラフの曲線と
X軸で囲まれた部分の面積で表される。
図1を比べたら
どれもほとんど差がないことが見て取れる。
足裏から伝えられた総エネルギーが同じだとしても、
接地様式が違えば下肢のどの筋、どの腱、どの組織に
どのくらい負荷がかかったのかが異なってくる。
barefoot-forefoot strikeの走法は、
足関節底屈筋群アキレス腱に大きな負荷がかかるだろう。
単純に安全などとは言えないはずだ。

(まだまだ続く)



※1 短距離走ではそれを遥かに超える力が同様の時間内に足にかかっている

『スプリントの地面反力』(阿江通良・宮下憲・大木昭一郎:筑波大学)
という論文を例にとって見ると、
全速疾走時の地面反力のピークは接地の約20ms後に現れ、
力の大きさは体重の約4.5倍となっている(同論文の図1)。
(14名の大学陸上部員の平均)
スプリントの中間疾走での片足接地時間は約0,1秒。
図1より地面反力のピークは接地時間の最初の約20%にあるので、
接地の約20ms後とした。


※2 徐々に走行距離を伸ばしていくことで障害発生のリスクを低く抑えられる

なお、1日走行距離や週間あるいは月間走行距離と
骨・関節ランニング障害の間には関係がある。
ある程度以上走るようになると特定の障害発生率が高くなることが
知られている。
 『骨・関節のランニング障害に対しての提言
 (日本臨床スポーツ医学会サイト委員会のページより)


※3 短い距離から徐々に下腿の筋を慣らしながら走行距離を増やすことを推奨している

 『「裸足」は足に優しいランニング法?-米ハーバード大研究結果
 (「健康美容ニュースブログ|ダイエット・病気・症状」より)
「この考察では、ふくらはぎと足の筋肉を作りながら、
 裸足にシフトとしていくことが望ましいと指摘しています。」
「足の中央部または前部で着地するには強力なふくらはぎ
 および足の内在筋が必要」
「また、足の母指球から地面に当てる走法を訓練する方法もあるが、
 急激に移行しようとするとアキレス腱炎を発症しやすいため、
 徐々に注意深く移行するのが重要とのこと。」
などとリーバーマンの言葉を紹介している。
ちなみに、引用文中”母指球”と書いているのは誤りであろう。
母指球(母趾球)では、前足部裏の内側(母指側)になってしまう。
リーバーマンも外側で接地することを認めている。
だから、これは小指球(小趾球)である。



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テーマ:ジョギング・ランニング - ジャンル:スポーツ

この記事に対するコメント

質問させてください。
当方まったくの素人ですが、故障の原因は筋肉の疲労が原因だと考えています。
関節の故障に関しても筋肉疲労により、筋肉が衝撃を吸収できなくなり関節に衝撃がかかりやすくなる(私は靭帯損傷以来、確実にこの傾向があります)。

この考えからいくと、着地点が同じならつま先着地や全体着地は、踵着地より体に近い着地になり、筋肉の疲労が少なくなるはずです。思いっきり大股で歩くと、大腿筋やハムストロングが疲れ長く歩けないように、体から遠い着地点だと疲労が大きくなるはずです。

あと、リーバーマンのグラフは力関の問題ではなく、滑らかさの問題ではないでしょうか。
例えば、釣りのリールに一か所僅かな抵抗があると、回すと明らかに疲れやすいです。

このように考えるとリーバーマンの理論で怪我を軽減できると思いますが。
【2012/12/01 00:45】 URL | まつ #- [ 編集]

Re: タイトルなし
随分と前に頂いた質問に対して、今更遅いかと思いますが、一応自分なりの考えをお答えしてます。

> 当方まったくの素人ですが、故障の原因は筋肉の疲労が原因だと考えています。

故障=障害(慢性外傷)、オーバーユース症候群と置き換えるのなら、筋肉疲労は直接または間接的に主要な原因の一つと言えると思います。

> 関節の故障に関しても筋肉疲労により、筋肉が衝撃を吸収できなくなり関節に衝撃がかかりやすくなる(私は靭帯損傷以来、確実にこの傾向があります)。

関節と言うのは、関節を構成する2つの骨と関節軟骨や関節円盤、靭帯や腱、滑液包などからできているので、それは主要な原因と考えていいと思います。

> この考えからいくと、着地点が同じならつま先着地や全体着地は、踵着地より体に近い着地になり、筋肉の疲労が少なくなるはずです。

この文の前半は正しくありません。踵の方がつま先よりも体に近い(体重心の直下に近い?)着地がしやすくなります。ただし、体に近い(体重心の直下に近い?)着地であればある程、筋肉の疲労が少なくなるとは言えません。走スピードや走法(着地法も含める)や体型などによって、疲労の少ない適切な着地位置は変わってくると考えます。

> 思いっきり大股で歩くと、大腿筋やハムストロングが疲れ長く歩けないように、体から遠い着地点だと疲労が大きくなるはずです。

体(体重心の直下)から遠過ぎる着地では、大腿などの筋疲労が増大することがあるでしょうが、近過ぎても股関節や大腿(前側)などに過大な負荷がかかるのではないかと思います。

> あと、リーバーマンのグラフは力関の問題ではなく、滑らかさの問題ではないでしょうか。
> 例えば、釣りのリールに一か所僅かな抵抗があると、回すと明らかに疲れやすいです。

着地直後の、しかもピークよりもずっと小さな力(抵抗?)の存在が、そんなに影響するのかどうか疑わしいです。グラフからは、それ以外の地面反力の変遷(滑らかさ)には大きな違いはにように見えます。
筋疲労を問題にするのなら、力の大きさと時間の長さが主要なファクター(要因)だと思いますけど。

> このように考えるとリーバーマンの理論で怪我を軽減できると思いますが。

リーバーマンの”理論”は、実験結果の枠を超えて言及していて信憑性が非常に疑わしいと思います。また、映像で観ることのできるリーバーマンの走法(接地前の足の動作〜接地動作〜離地の動作)は、とても褒められるような代物ではありません(はっきり言って酷い)。
【2013/01/27 23:08】 URL | フィジカル系職人 #- [ 編集]


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プロフィール

フィジカル系職人

Author:フィジカル系職人
職業:マッサージ・鍼治療院経営
   アスレティックトレーナー
生息地:群馬
本名:佐藤 暢彦

身体のこと、治療のこと、スポーツのこと、などなど。日頃考えていること、興味を持っていることについて、書いていきたいと思います。

このブログについて:更新作業は治療室内のMacで行なっていますので、早朝や深夜、休業日の木曜に更新されることは基本的にありません。



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