感覚派アスレティックトレーナー  身体と会話する日々
マッサージ師、鍼師であり、アスレティックトレーナーでもあるフィジカル系職人が、身体について、スポーツについて、その他よしなし事について綴る、教養系?ブログ
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世界陸上競技選手権テグ2011 第7日(9/2)の感想
この日、いや本大会(まだ終わっていないが)の最高の戦いは、
女子やり投げ決勝であろう。

世界記録保持者チェコシュポタコバ
1投目から68m80という好記録でリードする。

ロシアアバクモワは右足にテーピングをしていて
怪我をしていることがうかがわれ、
予選の2投と決勝の1投目と投てきに生彩がない。
ところがアバクモワの2投目は、
全身をしっかりと使った見違えるような投てきで、
71m25という世界記録に迫る記録で逆転!
この1投で優勝が決したかと思われた。

ところが、ベスト8に入ってからの5投目。
シュポタコバの渾身の1投は、
71m58という大投てきでアバクモワを逆転!
怪我を抱えるアバクモワには、もう逆転は不可能ではないかと思われた。

アバクモワは、北京オリンピックでも、70m78を投げたのに、
71m42を投げたシュポタコバに敗れている。
70mを投げて負けるということはまず起こりえないことである。
不運と言って良いだろう。
それが、今度は71mを投げて敗れようとしている。
こんなことは史上初であろう。

ところが、アバクモワシュポタコバの大逆転の投てき直後の5投目、
71m99を投げて再々逆転してしまったのである。
狂喜するアバクモワ
これにはシュポタコバも、呆れたように力なく笑うしかない。

さすがに6投目は両者共に記録は伸びず、
世紀の名勝負は、アバクモワの勝利に終わった。
 
 アバクモワの投てき:TBSサイトより
 シュポタコバの投てき:TBSサイトより

両者の執念、集中力、技術の高さに、拍手を送ろう。


女子200m決勝は、ジャマイカベロニカ・キャンベル=ブラウンが、
オリンピック王者(2連覇)の意地を見せて優勝した。
 女子200m決勝の映像:TBSサイトより

世界陸上4連覇を目指したアリソン・フェリックス(米)は、
走りに冴えが無く3位に終わった。
手足が長くスマートな体型と伸びやかな走りは、
ロングスプリントの素質をうかがわせてきたが、
彼女のスプリントフォームは、
現代の走理論から言えば時代遅れ。
25歳になるのにフォームを改良してこなかったのが残念である。

2位に入ったカルメリタ・ジーターは、
100mでは素晴らしいスプリントフォームで優勝したが、
200mは彼女にとって長かったようだ。
直線に入ってからベロニカ・キャンベル=ブラウンに迫ったが
直線の後半ではスピードが鈍ってしまい、
逆に直線で一旦力を温存したベロニカ・キャンベル=ブラウン
最後にまた突き放しに掛かるとジーターは離されてしまった。
200mの走り方を熟知しているベロニカ・キャンベル=ブラウン
執念の勝利だった。

とにかく、今回の200m決勝は、
ベロニカ・キャンベル=ブラウンが総てに於いて勝っていた。


女子800m準決勝で、
またもや解説者が中距離レースについて無知であることを露呈した。

第2組で、ケニアジァネス・ジェプコスゲイ=ブジェネイが1周目をぶっ飛ばし、
56秒53というラップで回った。
これは明らかに速すぎる。
その証拠に、ゴールタイムはトップが 1分58秒45であるから、
2周目は61秒92掛かっていることになる。
実際には、トップのサビノワ(ロシア)は1周目は最後尾にいたので、
1秒くらいジェプコスゲイよりもラップが遅いとみれば、
2周目は61秒程度であろう。

前後半のバランスが一番良いサビノワでさえ、
1周目と2周目のラップの差が3秒5程あると言うのは、
これは前半飛ばし過ぎの典型的なレースである。
こういうレースをするとレース後の疲労が大きくなる。
イーブンまたは後半少し速いぐらいのレースをした方が、
エネルギー節約になる。
こうしたことを、解説者が指摘しない(できない)。

恐らくサビノワは、ジェプコスゲイが前半から飛ばしてくることを読み、
自分は出来るだけ省エネレースをしようと
スタートからゆっくりと走り、
1周目に追いつけば良いというレース展開。
セオリー通りバックストレートで順位を徐々に上げ、
第3コーナーまでにスパート勝負し易い位置に付け
直線でスパート勝負で勝つ。
これは確たる読みと作戦に基づいた素晴らしいレースの実行である。
(思ったとおりに実行できるだけの経験と自信がある証拠)            ※1

それなのに、解説者は1周目の第3・第4コーナーの間のタイミングでは
「二人もう離してしまった」(二人が遅れた)とコメントしている。        ※2
さらに、2周目の第3コーナー前では先行していたクロコワ選手(スロバキア)を
サビノワと勘違いし、
アナウンサーの発言をわざわざ訂正しているが、
間違っているのは解説者の方。
ユニフォームは似ているが、髪の色が全然違うのだから、
そんな間違いはして欲しくない。
総てに”見たこと”よりも”紙の上の知識”を優先し
頭の中が予断に満ちているから間違いを犯すという好例。

 女子800m準決勝第2組のレース:TBSサイトより

この女子800mの準決勝の第3組では、
南アフリカセメンヤ選手がやはり1周目を後方につけて走った。
スパートに自信があるのだろう。
この組だけは1周目よりも2周目が速い、
ネガティブ・スプリットのレースであった。
セメンヤは2周目が58秒5を切っており、
ロシアコステツカヤ選手が59秒ちょっとで走っている。
途中で書いたように、
このようなレースでは疲労度が低くて済む。

 女子800m準決勝第3組のレース:TBSサイトより

決勝では、ロシア勢とセメンヤの優勝争いになると思うが、
セメンヤのスパートは切れがあるという風には感じないので、
レース巧者のサビノワ選手が優勝するような気がしている。


※1 思ったとおりに実行できるだけの経験と自信がある

いくら集団に付いていくと速すぎるとわかっていても、
集団から離れて独自のペースで走るということは、
不安なども心をよぎり実際には難しい。
実力と経験と勇気と決断力があるということ。
また、バックストレートまで最後尾で走っているが、
ハイペースに付いていけなくなってスピードが鈍るのは、
バックスストレートからが多い。
その時点で集団に入っていると、
そのスピードの鈍った選手が自分の進路の邪魔になるので、
直線まで最後尾にいて遅れる選手を外側から抜いていく方が
安全で確実である。
そうしても先頭の選手達もスピードが落ちてくるので、
充分残り100mまでに追いつけると読んでいたのであろう。



※2 「二人もう離してしまった」

二人とは、サビノワとジャクソン(イギリス)のこと。
離れてしまったのではなく、
明らかに飛ばし過ぎを避けて
後半勝負のために後ろから追う作戦である。
それでも、ジャクソンにとってはまだハイペース過ぎて
5位に終わっているが、
記録は彼女のプライベートベストが出ている。
(※2は9月5日に書き加えた。)




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フィジカル系職人

Author:フィジカル系職人
職業:マッサージ・鍼治療院経営
   アスレティックトレーナー
生息地:群馬
本名:佐藤 暢彦

身体のこと、治療のこと、スポーツのこと、などなど。日頃考えていること、興味を持っていることについて、書いていきたいと思います。

このブログについて:更新作業は治療室内のMacで行なっていますので、早朝や深夜、休業日の木曜に更新されることは基本的にありません。



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