感覚派アスレティックトレーナー  身体と会話する日々
マッサージ師、鍼師であり、アスレティックトレーナーでもあるフィジカル系職人が、身体について、スポーツについて、その他よしなし事について綴る、教養系?ブログ
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

腸腰筋について
私が、人の直立と運動において、
それ故に人体をケアやコンディショニングする上で
とても重要だと思う筋肉について、
しばらくの間説明していきたいと思います。

腰椎(ようつい)から始まる大腰筋(だいようきん)という筋と
主に骨盤の一部である腸骨(ちょうこつ)の内(腹)側から始まる
腸骨筋(ちょうこつきん)という筋が
股関節の前を通って大腿骨の小転子(しょうてんし)に付いています。
この大腰筋腸骨筋という二つの筋を合せて腸腰筋と呼びます。

  腸腰筋01  腸腰筋2



腸腰筋は、
大腿(だいたい=ふともも)を腹側に向かって持ち上げるときに
メインとなって働く
筋肉です。

腸腰筋の作用(立位)   腸腰筋の作用(背臥位)

また、脚を固定した時には、膝に向けて上半身を曲げる時に使われます。
具体的に言うと、
補助者に足を押さえてもらいながら上体を起こす腹筋運動を          ※1
思い浮かべればいいと思います。
最もポピュラーな腹筋運動と言えるものですが、
実は腹筋と言うよりも腸腰筋のトレーニングなのです

腸腰筋は、体の深部にあって体表からは見たり触れたりできません。
そのため、上記以外の働きについては、よくわからないところがあります。

例えば、腸腰筋のうち大腰筋は、
足踏みするようなマシーン(ステップマシーン?)で鍛えられると
テレビコマーシャルなどで各社宣伝していますし、
ネット上で様々なサイトで「専門家」と称する方々が
足踏み運動が大腰筋を鍛えると説明をしています。
私も、ある理由からそのように考えますが、
しかし、それにしても何故そうした運動で大腰筋が鍛えられるのか
説明しているものを見た記憶がありません

また、大腰筋は構造上単独の筋ではなく腸骨筋とセットの筋なのに
何故大腰筋だけを語るのかが解せません


足踏みの時太腿(膝)を高く上げれば、鍛えられると説明しているものもあります。
でも、持ち上げる片脚の重さは一定なのですから、
高く上げようが低かろうが負荷はそう変わりません

脚の付け根(股関節)の高さ近くまで挙げるときは、
関節可動域や拮抗筋(大腿の裏の筋=ハムストリングス)の柔軟性が抵抗となって
太腿(膝)を持ち上げることが難しくはなりますが、、、。

確かに大腰筋腸腰筋)は大腿を持ち上げる働きがあるのですが、
この場合は挙げる方の脚(股関節)ではなく、踏ん張って支える方の脚(股関節)で
大腰筋腸腰筋)がより重要な働きをしているのだと
私は推測しています


身体の中心軸(垂直軸、重心軸)の近くに存在し、長さも太さもあり、
脊柱と骨盤とを脚(大腿骨)に連結している腸腰筋は、
加重時(体重がかかっている時)に股関節を固定・安定させる
重要な働きが課されていると推測しています


関節を固定・安定させるには、膝のような特殊な関節構造をしていない限り、
関節の四囲(周囲)にある筋が共同して働かなければ無理です。
特にその関節の動きの多様性・自由度を保ちながら安定させるには、
長さと動きと力を調節できる筋が、
しかも関節周囲にあって協調し合うことなしには不可能でしょう。

したがって、腸腰筋は、
下部の脊柱起立筋、腰方形筋、大殿筋、中殿筋、大腿直筋、大腿筋膜張筋などと協調しながら
股関節(すなわち骨盤と大腿の間)と下部脊柱を固定・安定させて支持力を高め、
それによって反対側の脚を大きく動かすことを可能にしているのだと
私は考えています                             ※2
股関節の前面にあって、体軸に近く、
股関節後部・内側・外側の諸筋に伍して働けるような、
ボリュームも筋力もある筋は他にはありません。

さらに言えば、腸腰筋の内、大腰筋は2つ以上の関節を連結している多関節筋です。
多関節筋には、関節を一つだけはさんでいる単関節筋とは
違った働きがあることがわかってきており

近年その働きについての研究が進んできています。
私も今勉強中ですので、
今後多関節筋についてわかったことも書いていきたいと思っています。

腸腰筋は、人の姿勢や運動に非常に重要な筋であり、
腰痛にも深く関わっている筋であると思われ、
私自身腰痛を訴える方(というよりすべての方)へ
マッサージをする上で重視している筋です。

その腸腰筋については、
大腰筋のみで語られたり、根拠を示さないでこんな筋であると説明されていたりしていて、
何が仮説で何がわかってきた事実なのかがわからない
ゴッチャゴチャな状況だと思います。
これからも、より本質的な根拠を示してくれる資料を探していきたいと思います。
また、腸腰筋の機能をよくご存知の方からのご連絡を歓迎致します。


※1 補助者に足を押さえてもらいながら上体を起こす腹筋運動

仰向けに寝た状態から上体を起す運動をシットアップ(Sit up)と言う。
上で述べたような足を固定したシットアップは、
実は腸腰筋をメインに使う運動である。
この運動をやりすぎると、
腸腰筋が疲労から強く緊張したり短縮するため
前回説明したように腰痛の原因となることがあります。

足を押さえて Sit up を行なうのは良くない、
足は押さえないで一人で Sit up のが良いと
私が学生の頃などには言われました。(1970年代末~1980年代始め)
しかし、足を押さえない(固定しない)でやっても
やはり腸腰筋主体の運動であることには変わりません。


※2 股関節と下部脊柱を固定・安定させて支持力を高めることによって、反対側の脚を大きく動かすことが可能になる

私は中2から大学時代を通じて陸上競技をしていたし、
3年間教師として中学校の陸上部の顧問として指導もした。
陸上競技の特に短距離の練習に「ももあげ」と呼ばれるドリルがあった。
特に1960~70年代に流行ったらしいマック式ドリルは、
世界の一流短距離選手の動きの分析から、
一流選手の大腿をあげる高さはそんなに高くないと言うことがわかると
否定されてしまった。
しかし、このようなマック式ドリルの狙いは、
実は大腿を高くあげられるようにすることにあるのではなく
大腿を前に引き出す(ある程度以上は高くなる)時には、
反対側の支持脚にかかる地面からの反力が強くなるので、
しっかりと支持したり地面を押すことにポイントがあったらしい

下部脊柱~骨盤・股関節を固定・安定させることで
支持力を強くして反対側の大腿を引き出しやすくする
それが、結果的に疾走スピードの向上につながる
そうイメージできれば、有効なトレーニングであると思う。

下肢においては、片脚を宙にあげて動かす時、
もう一方の脚がぐらつかないで安定して支持しなければならない。
片脚をより強く動かす時、より大きく動かす時、より素早く動かす時、
支持脚を含む股関節・骨盤・脊柱はより強い安定性・支持力を持つことが
必要となる。



↓この記事に共感したり役立つと思った方は、クリックにご協力ください


(このエントリーの最終訂正は、2010年12月23日に行ないました。)
スポンサーサイト

テーマ:スポーツ医学・コンディショニング - ジャンル:スポーツ

この記事に対するコメント
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
【2013/01/19 15:03】 | # [ 編集]

Re: 腸腰筋
返事が遅くなり、申し訳ありません。

> 1ケ月前から膀胱の左側に違和感があり、そして1週間前にはかなりの激痛があります。
> ということで、泌尿器科にかかりましたが、膀胱炎でもなければ、尿管結石でもないと診察されました。

痛む部位は、左鼠径部辺りと考えていいのでしょうか?
一応、整形外科的な問題に絞って良いのなら、下記サイトの図で確認して下さい。
ついでに、その内容も読んで参考にして下さい。
http://www.joa.or.jp/jp/public/sick/condition/groin_pain.html

『原因と病態』に書いてある筋肉には、もちろん大腰筋を含む腸腰筋があります。しかし、それだけと安易に限定することもできません。

> 思い当たるのは、違和感が出始めたちょうど1ヶ月前にヒップリフトを片足30回×2セット合計120回を3日間やった直後からじわりと痛みが出てきました。

確認します。あなたがヒップリフトと呼んでいるのは、下記の動画で行なっているエクササイズ(片脚支持の方)ですね?
http://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=qXj1_qF8Qds

このエクササイズでは腸腰筋が緊張し短縮していると、股関節の前面が伸びず、お尻が下がって腰の反りが強く出ます(腹が出る)。(この動画のモデルの動きも、そのような傾向が見られます。)
お尻を挙げる動作なので、ハムストリングが強く収縮しますが、腸腰筋が緊張しているとハムストリングに対抗するようにより強く緊張します。つまり、ただでさえ緊張が強く短縮している腸腰筋が、このエクササイズによってより緊張を強めてしまう恐れがあります。
これを防ぐには、事前に腸腰筋をストレッチしておいたり、充分ウォーミングアップさせておくことが第1のポイントです。そして、実際のヒップリフトでは、股関節の前を伸ばす(腸腰筋が伸びる)ように(太腿の付根前面を伸ばすイメージ)でお尻を上げること、お腹(へそ)を胸の方に引き上げつつ引っ込める(お腹を薄くする)ようにすることで、骨盤の前傾をも防ぐことが第2のポイントです。

> 激痛があった日の午前中には30㌔走(ビルドアップ走)もできました。
> ただ、最初の1㌔は痛みがきましたが、その後全くありませんでした。

夜中の激痛が無くなり、このような症状だけであれば、急性期を過ぎて慢性期に移行してきていると思われます。

> これは、腸腰筋を痛めた時の症状なのでしょうか?

途中でも書きましたが、その可能性は低くないと思いますが、このような間接的な情報だけではわかりません。内科的に問題が見つからないのであれば、整形外科でも相談されることをお勧めします。
【2013/01/27 23:42】 URL | フィジカル系職人 #- [ 編集]


この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
http://bodyi.blog17.fc2.com/tb.php/41-b5760404
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2カウンター



プロフィール

フィジカル系職人

Author:フィジカル系職人
職業:マッサージ・鍼治療院経営
   アスレティックトレーナー
生息地:群馬
本名:佐藤 暢彦

身体のこと、治療のこと、スポーツのこと、などなど。日頃考えていること、興味を持っていることについて、書いていきたいと思います。

このブログについて:更新作業は治療室内のMacで行なっていますので、早朝や深夜、休業日の木曜に更新されることは基本的にありません。



最新記事



最新コメント



最新トラックバック



月別アーカイブ



カテゴリ



FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking



検索フォーム



RSSリンクの表示



リンク

このブログをリンクに追加する



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



QRコード

QRコード





上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。