感覚派アスレティックトレーナー  身体と会話する日々
マッサージ師、鍼師であり、アスレティックトレーナーでもあるフィジカル系職人が、身体について、スポーツについて、その他よしなし事について綴る、教養系?ブログ
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アスレティックトレーニング:症例 腰痛(アスリート)
今回紹介する症例は、
陸上競技部で長距離をやっている当時高2の男子のお話です。

今(高崎)とは違って前橋で治療室を構えている頃のことです。
その頃は定休日にしていた日曜日のある日、
携帯に電話がかかってきました。
県内のN高校陸上部の顧問の先生からの電話でした。
その日、県内では陸上競技記録会が開かれていて、
N高校の一人の生徒が、
5000mレースの途中で突然激しい腰痛に襲われレースを途中棄権したが、
今も立つこともままならなず寝かせたままの状態だという
のです。

休みでしたが仕方ありません。
ちょうど記録会の行なわれている陸上競技場に私の治療室が近かったので、
そこで診ることにして、それまで股関節をアイシングするようにお願いしました

折角の休みなのであまり体を使いたくないのと、
高校生のアスリートに覚えてもらういい機会なので、
アイシング・エクササイズ・ストレッチングを通じて
腰痛の改善を図ることにしました。

まずは、痛みの原因である腸腰筋の緊張の緩め、腹圧を高める目的で、
腹筋を強収縮させる運動を行わせました

ベッドに仰向けに寝かせ、
上半身を起そうとするところへ、
腰椎がベッドから離れないように抵抗を与えます。
最も、腹筋が収縮している位置で6~7秒間力を入れさせ続けます。
降ろす時はゆっくりと降ろすように指示しました。
このように腹筋を行なわせると、
腸腰筋が働かないで腹筋群(腹直筋・外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋)のみが
最大に収縮する
の上、                           ※1
アイソメトリックな収縮とゆっくりとした関節運動しかさせないので
反動によって思わぬ筋(腸腰筋など)が収縮してしまうことを防ぎ、
腰の痛みを誘発させることを防げます
こうした腹筋運動で腸腰筋が少しずつ弛緩する上、
腹圧が高まった状態がしばらく維持できます。
下の写真の方法をメインに行ないました。

コア・スタビリティ 仰臥ペア斜01 写真1A  コア・スタビリティ 仰臥ペア斜02  写真1B     ※2

続いて、深部腹筋をメインに腹筋群を持続的に収縮させて
体幹(胸骨・肋骨~骨盤)を固定する作用を強化するエクササイズ

行なわせた。                               ※特(追記)
具体的には、
(1)うつぶせの体勢から、
 足指の裏と前腕だけで体重を支えて体を床から持ち上げ、
 腰を伸ばしたまま20秒間その体勢を維持するエクササイズ、
(2)(1)の体勢から、
 片足を(床から10cm以上)持ち上げて20秒維持するエクササイズ、
(3)両脚をそろえて重ねた横臥の体勢から、
 下になっている側の上肢の前腕と足の外側面だけで体重を支えて
 体を床から持ち上げ、腰を伸ばしたまま20秒間その体勢を維持するエクササイズ、
(4)(3)の体勢から、
 上側になっている足を(10cm以上)持ち上げて20秒維持するエクササイズ、
を2~3セットずつ行なわせました。
もちろん腰に痛みが誘発されないことを確認しながらです。           ※3
エクササイズの(3)(4)は、中殿筋の強収縮後のリラクセーションを得る効果もあり、
それが腰痛を改善する上でも有効
です。

こうしたエクササイズと
その後に股関節周囲のセルフ・ストレッチングを指導している間に、
本人は立ち上がること、立って歩くことなど、
日常生活で行なう動作では痛みを感じないまでに回復しました。

  腸腰筋セルフ・ストレッチング01   股関節内旋st01 セルフ・ストレッチング

  腸腰筋Pストレッチング02   殿筋Pストレッチング01 パートナー・ストレッチング

最後に私が腸腰筋などの股関節をストレッチングして上げ、
自宅へ帰った後も行なうべきアイシング、エクササイズ&ストレッチングを
指示しました。
ちなみにアイシングするポイントも、
中殿筋、梨状筋、腸腰筋の停止部(大腿骨小転子)です。


※1腸腰筋が働かない腹筋運動
以前、世に行われている「腹筋運動」の多くは、
腸腰筋を使っていると書いた。
そして、腸腰筋を知らず知らず緊張・短縮させ、
それが腰痛などのさまざまな障害の原因ともなっていることも
指摘してきた。

腸腰筋について 3
(「腰痛に対するマッサージ 2(腸腰筋)」「腸腰筋について」
 「腸腰筋について 2」も参照されたし)

このエントリーで紹介した方法は、
腸腰筋を働かせず腹筋群だけを非常に強く収縮させることのできる
腹筋運動
の一つである。


※2 写真1Aおよび写真1B
スポーツ障害予防のための最新トレーニング  体の仕組みに沿ったドイツ式トレーニング」
(監訳 福林徹・訳 今井純子、文光堂 1997)の P147の図21-2

非常に参考になる本である。
ちなみに、私は、写真1Bの写真よりも、二人の手が合う位置をもう少し低くし、
写真の女性よりも床からの起き上がりを少し小さくして、
背中の中程くらいまでしか床から離れないようにコントロールします。


※3 腰に痛みが誘発されない(痛くない)ことを確認する
アスレティック・リハビリテーション/リコンディショニングを進める上で、
その間最大に気をつかわなければいけない重要なポイント。


※特(追記)
 体幹(胸骨・肋骨~骨盤)を固定する作用を強化するエクササイズ

いわゆる「スタビライゼーション」エクササイズと同様のものである。
(1)(2)は、プローン・ポジション(Prone Position)で行なうエクササイズ、
(3)(4)は、ラテラル・ポジション(Lateral aposition)で行なうエクササイズである。
 Prone:うつぶせの、お腹を地面に向けた(反対語:Supine)  Lateral:側面の、外側の

このようなエクササイズは、私自身90年代後半に少しずつ考案してきたが、
スタビライゼーションとして紹介されているものと同じ内容を含んでいるように見える。
しかし、スタビライゼーション」という用語は、「商標登録」されているので、
スタビライゼーション」だと言って指導することはトラブルを招くおそれがある
ので、
私は「コア・スタビリティ・トレーニング」と呼んで高校生などに指導してきた。

「スタビライゼーション」は方法に身体・生命へのリスクの小さいエクササイズで、
日本スタビライゼーション協会(NPO法人)の言うような
「オリジナル」な理論でも方法でもないと思うので、
ウエイト・トレーニングなどと同じように一般的なトレーニング用語とすべきで、
一団体(日本スタビライゼーション協会)が商法登録したことは
スポーツ界にとって良いこととは思えない。

「加圧トレーニング」の場合は、まさしく佐藤義昭氏のオリジナルであるし、
血流を制限するその方法は正しく行なわないとリスクが高いであろうから、
これを「特許」としたことも理解できるのである。

スタビライゼーションは、もともと
小林敬和氏(中央学院大学教授/陸上競技10種競技のコーチとして有名)が
ドイツ式のトレーニングとして「スタビライゼーション」という名称で
いち早く国内でスポーツ誌などで紹介していたと認識している。
「アスレティックスタビライゼーション BASIC 」解説
一方、「スタビライゼーション」を商標登録している
日本スタビライゼーション協会のスーパーバイザーだという安光達雄氏は、
こんなビデオ/DVD(ちょっと古い物と思われる)では小林氏と協力していたが、
小林氏と日本スタビライゼーション協会との間には
なんら関係が無いように見受けられる。

「スタビライゼーション」という用語を(恐らく)最初に使い、
ドイツ式のコア重視のトレーニングを紹介した小林氏と無関係に、
日本スタビライゼーション協会が「スタビライゼーション」をいち早く商標登録し
自らのオリジナルだと主張しているように見えるのは私だけであろうか。
また、NPO法人だと言うが、
そのサイトには協会の設立理念とか組織概要だとか約款だとかが載っていないようだが、
実態は営利目的の会社と違いがあるのだろうか。

多くの先人によって理論や方法論が発展してきたトレーニングの世界も、
その成果が(一部の人間によって)商品化され
金儲けの道具に利用されることが今の潮流だとしたら、
とても寂しいものになってしまう
ように感じるのは私だけであろうか?



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Author:フィジカル系職人
職業:マッサージ・鍼治療院経営
   アスレティックトレーナー
生息地:群馬
本名:佐藤 暢彦

身体のこと、治療のこと、スポーツのこと、などなど。日頃考えていること、興味を持っていることについて、書いていきたいと思います。

このブログについて:更新作業は治療室内のMacで行なっていますので、早朝や深夜、休業日の木曜に更新されることは基本的にありません。



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