感覚派アスレティックトレーナー  身体と会話する日々
マッサージ師、鍼師であり、アスレティックトレーナーでもあるフィジカル系職人が、身体について、スポーツについて、その他よしなし事について綴る、教養系?ブログ
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研究者 山西哲郎先生(恩師 山西哲郎先生 その2)
前回、山西哲郎先生の研究者としての面を取り上げましたが、
実際には山西哲郎先生が運動生理学の研究者として
どのように評価されていたのかは私にはわかりません。
独創的なことはやっていなかったかもしれません。
しかし、ともすれば研究とスポーツ・運動指導とが断絶し、
大学の研究者はスポーツ・運動指導の現場に出ていかず、
一方現場指導者は最新の研究成果を知らず指導に活かせない
という傾向が強かった中で、
山西先生の実践は研究とスポーツ・運動指導の実践とが
結び付いていたのが特徴であったのではないか
と思います。

体育科専攻でもない私が
最大酸素摂取量測定の実験に被験者やアシスタントとして加わったこともそうですが、
先生が指導する多くの市民ランナー等が
最大酸素摂取量の測定実験の被験者になられたことは

様々な年齢・活動レベルの人々の運動生理学的データを集められる価値もあったが
被験者となった方々にとってもランニングや運動することの意味を
科学的な面から体感的に理解できるよい機会であった
ように思います。

(今から30年も前の時代には、
学生や実業団などの陸上競技選手やコーチ向けの本がわずかにあるだけで、
ランニングを愛好する一般人に向けた本など皆無に近く、           ※1
運動生理学的な知識を市民ランナーにわかり易く解説する書物など
ありませんでした。
また、最大酸素摂取量のデータなどは学生などから得たもの中心で、
子どもや中高年のデータは少なかったのです。)

山西先生は酸素摂取能力(全身持久力)の評価法について精通していて、
それらは今日スポーツ・運動指導に広く役立っています。
最大酸素摂取量は全身持久力評価の指標になりますが、
どこでも誰にでもできるものではない最大酸素摂取量測定に代わり
簡便に酸素摂取能力を推定する評価法である12分間走テストや
そのさらに簡便な評価法である5分間走テスト、
現行の体力テストで採用されているシャトルランなどの
それぞれの測定法やデータの意味など相互の違いに精通し、
子ども、中高年者、知的障害児など様々な人々に持久力評価と運動処方
実践するとともに著作や講習会等を通じて広めてきました
。          ※2
また、酸素摂取(要求)レベルと心拍数との関係から
心拍数を目安にして歩行・ランニング強度の決定するなど、
現在市民ランナーの間でも常識化していることを
いち早く指導していました
。                        ※3
私が高校の陸上部時代に練習中よく心拍数を数えました。
当時の顧問斎藤三郎先生(現群馬県総合スポーツセンター長)は
東京教育大学で山西先生の指導を受けた方で、
斎藤先生自身も学生時代心拍数を数えさせられたのでしょう。
私が群馬大学で山西先生から直接指導を受けた時も
当然毎日練習の合間によく心拍数を数えました。

このように、山西先生の研究の特徴は、
運動生理学の知識を活かして学生や市民を指導しつつ、
指導するから学生や市民から運動生理学的なデータを
また収集していたことにあるのではないか
と思います。
それらのデータが中高年の方々へのランニングや運動指導に
フィードバックされて活かされていったわけで、
指導と研究が車の両輪のように一体となっています
そして、今日のランニング/ジョギング・ブームや
ウォーキングなどの有酸素性運動の価値が認知されていること、
中高年や生活習慣病対策としての運動処方のあり方など、
山西先生ひとりの功績ではないが、
その一翼を担ってきたことは間違いないのではないだろうか。


※1 ランニングを愛好する一般人に向けた本が皆無に近かった

そうした本を書いていたのが、山西哲郎先生であった。
山西先生の最初のランニング本の出版は、
1975年の『走れ!! 健康をつくるランニング』(成美堂出版)であったかと思う。


※2 様々な対象への全身持久力評価と運動処方

山西先生の関わった研究を以下にいくつか紹介する。
連名での論文には山西先生以外の1名の名前と人数を記した。
トレッドミル走行における負荷方法にかんする研究 : キネシオロジー」 渋谷貞夫他6名
  日本体育学会大会号 1972
心拍数屈曲点と有酸素的作業能力の関係について」 中野裕史 群馬大学教育学部紀要 1992
小学校低学年児童の運動能力テストに関する実験的研究」 宇田川宏他5名
  体育學研究 1971
中学生の持久走時間についての実験的研究 : 発達発育的研究」 武政喜代次他3名
  日本体育学会大会号 1972
小・中学生の全身持久力の発達に関する研究」 群馬大学教育学部紀要 1978
小・中学生の全身持久力の発達に関する研究(2)」 萩原豊他2名
  群馬大学教育学部紀要 1980
中高年の長期的ランニング・トレーニングの効果について」 群馬大学教育学部紀要 1983
中高年者の健康増進のための運動処方 : 群馬県赤城村における実践(I)」 山口明彦他2名
  群馬大学教育学部紀要 1987
中高年者の健康増進のための運動処方(2) : -群馬県赤城村住民の身体活動量について-
  群馬大学教育学部紀要 1989
生活様式と全身持久性との関係(2) : 最大酸素摂取量の変化から」 土井由夫他2名
  群馬大学教養部紀要 1989
ジョギングの科学的実践 (ジョギングの科学<特集>)」 体育の科学 1981
成人の健康と運動 : 成人の健康と運動 : 体力医学の応用と実践」 体力科學 1983


※3 心拍数を目安にした歩行・ランニング強度の決定

1990年代頃?にランナーズ誌上などで紹介された『マフェトン理論』が
心拍数をランニング強度の指標とすることを提唱したものとして有名。


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Author:フィジカル系職人
職業:マッサージ・鍼治療院経営
   アスレティックトレーナー
生息地:群馬
本名:佐藤 暢彦

身体のこと、治療のこと、スポーツのこと、などなど。日頃考えていること、興味を持っていることについて、書いていきたいと思います。

このブログについて:更新作業は治療室内のMacで行なっていますので、早朝や深夜、休業日の木曜に更新されることは基本的にありません。



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