感覚派アスレティックトレーナー  身体と会話する日々
マッサージ師、鍼師であり、アスレティックトレーナーでもあるフィジカル系職人が、身体について、スポーツについて、その他よしなし事について綴る、教養系?ブログ
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陸上競技人 山西哲郎先生 2(恩師 山西哲郎先生 その5)
陸上競技の指導者としての山西哲郎先生についての続きです。

前々回、『教育者 山西哲郎先生(恩師 山西哲郎先生 その3)』で紹介した
山西先生の東京教育大学時代の先輩および後輩(教え子)の諸先生方は、
山西先生同様陸上競技の指導者でもいらっしゃいます。
その諸先生方がつくった中・長距離研究会について自宅から資料が見つかったので
今回の初めに紹介したいと思います。

私が自宅で見つけたのは中・長距離研究会が
陸上競技の月刊専門誌『陸上競技マガジン』に連載した
ランナーのための科学的トレーニング』という連載記事です。        ※1
「~連載に先立って~」と副題のついた山地啓司先生の文(連載第1回)に   ※2
「6年前の昭和48年6月」という記述があることから、
連載が始まったのは昭和54(1979)年ということになり、
手元には連載35回分が残っているので
最低でも足掛け3年連載が続いたことになります。
今読んでも中・長距離走の「科学的トレーニング」について
わかりやすく、しかも詳しくまとめられていて、
現在でも充分通用する解説書となっています。
このような研究成果を陸上競技マガジンという一般誌を通じて、
広く陸上競技ファンレベルまでに公開し知らしめたという点で、
中・長距離研究会が日本の中・長距離走トレーニングの啓蒙・普及に果たした功績は
大きいのではないでしょうか。

この『ランナーのための科学的トレーニング』で、山西先生は、
第1部体力編の中の「足とシューズ」(「コンディショニング 4」)と、
第3部トレーニング編の第1章から第3章および第5章と
第6章のうちの「クロスカントリー」と「ファルトレーク」を担当されています。
「トレーニングの歴史」と「トレーニング方法」についての章を担当していることからも
中・長距離走のトレーニングに詳しいことがわかると思います。
(1990年代のある時、W大の某有名選手に卒論について
相談されたと言うトレーナーの卵の女の子に、
山西先生の著作からトレーニング法の解説部分を教えて上げたことがあります。)

クロスカントリーと言えば、1977年3月、
山西先生は群馬大学陸上競技部2名を加えた4名の選手を引き連れ、
本場ヨーロッパで行われたクロスカントリー大会に参加しています。
その後に入学した私とその仲間達も、
山西先生から本場ヨーロッパのクロスカントリーレースの様子、
ヨーロッパ人達のレースへの取組み方などを興味深く聞かされました。

また、私の2年時には関東インカレの1部で戦ったとは言え、
前年の2部優勝校と言えどもレベル的には全く歯が立たなかったが、      ※3
山西先生は群大生に
「関東インカレには日本トップクラスの選手が参加している。
そのウォームングアップのやり方や練習の動きなどを良く見てきなさい。」
という主旨の指導をされていた。
特に出場できない部員などは、
選手のサポートやマネージャーの補助をしたり、
単に応援だけに来たようになるが、
そんなときでも「陸上競技の(勉強の)場」であることを強調していたのです。
昔から観察好きの私などは、そうした教えに意を強くして見て回り、
「動きを観る」という今につながる勉強をさせてもらったと思っています。
(大学によっては、部員は行動をかなり制限させられています。)

群馬大学陸上競技部における山西先生の指導は、
志し高く、ヨーロッパのクロカン参加などの国際経験は、
一部部員のみの経験かもしれないが、
陸上競技一流校でもそうそう作り得る経験ではないのではないかと思います。
厳密には陸上競技からは離れてしまうかもしれませんが、
群馬大学では(もちろん少数派ではあるが)陸上部員もその他の学生も含め、
卒業記念に山西先生と一緒にホノルルマラソンへ参加することが恒例になっていて、
一部の学生にとってある種のあこがれであったことは確かです。

一流レベルの選手はいなかったかもしれませんが、
群馬大学における山西先生の指導は、
学生スポーツ(陸上競技)の枠・とらえ方を拡げたこと、
誰にでも陸上競技における夢をもてることを示した、
そんなところにも意義があったのではないかと思います。


※1 中・長距離研究会編『ランナーのための科学的トレーニング』

章立てと文責者は以下のとおりである。
(所属・職名は当時のもの。左端数字は連載の何回目かを表す。)

 1 「~連載に先立って~」 文責:山地啓司(富山大学助教授)
 2 第1部 体力編 第1章「中長距離走と選手の特性」 文責:山地啓司
 3  第2章「中・長距離選手の身体的特性」 文責:雨宮輝也(スポーツ研究所)・山地啓司
 4  第3章「中・長距離走とエネルギー(1)」 文責:雨宮輝也・山地啓司
 5  第3章「中・長距離走とエネルギー(2)」 文責:山崎省一(防衛医科大学)・山地啓司
 6  第3章「中・長距離走とエネルギー(3)」 文責:豊岡示朗(大阪体育大学)・山地啓司
 7  第3章「中・長距離走とエネルギー」 文責:雨宮輝也・山地啓司
 8  第4章「最大酸素摂取量」 文責:山地啓司・山崎省一
 9  第5章「コンディショニング 1.ウォーミングアップ」文責:中長距離研究会・山地啓司
10  第5章「コンディショニング 2.熱さ・寒さと記録」
                       文責:伊藤静夫(スポーツ研究所)・山地啓司
11  第5章「コンディショニング 3.低酸素(高所トレーニング)」 文責:山地啓司
12  第5章「コンディショニング 4.足とシューズ」文責:山西哲郎(群馬大学)・山地啓司
13  第5章「コンディショニング 5.マッサージ」文責:斎藤三郎(渋川高校教員)・山地啓司
14~15 第5章「コンディショニング 6.栄養」 文責:梶原洋子(文教大学教)・山地啓司
16 第2部 技術編 導入部「ランニング技術とは何か?」 文責:山地啓司
17  第1章「ランニング技術の把え方」 文責:有吉正博(東京学芸大学助教授)
18  第2章「ランニングペース」 文責:有吉正博
19  第2章「ランニングペース(続)」 文責:有吉正博
20~21 第3章「ランニングフォーム」 文責:石井正幸(都立駒場高陸上部コーチ)・有吉正博
22  第3章「中朝距離種目の作戦(1) 作戦計画の予備知識」
                  文責:山口政信(明治大学講師・競技部コーチ)・有吉正博
23  第3章「中朝距離種目の作戦(2) 試合の戦略と戦術」
                  文責:山口政信(明治大学講師・競技部コーチ)・有吉正博
24  第3章「中朝距離種目の作戦(3) 試合の作戦の実際」
                  文責:山口政信(明治大学講師・競技部コーチ)・有吉正博
25 第3部 トレーニング編 第1章「トレーニングの歴史」 文責:山西哲郎
26  第2章「(2)トレーニング方法」 文責:山西哲郎・山地啓司
27  第3章「トレーニング法と実際」 文責:山西哲郎
28  第4章「(2)トレーニング方法」 文責:有吉正博
29  第5章「(3)トレーニング方法と観察」 文責:有吉正博・山西哲郎
30~31 第6章「レペティショントレーニング」 文責:豊岡示朗
32  第6章「野外走(その1) クロスカントリー」 文責:山西哲郎
33  第6章「野外走(その1) ファルトレーク」 文責:山西哲郎
34  第6章「ペース走」 文責:有吉正博
35  第6章「タイムトライアル」 文責:有吉正博


※2 「~連載に先立って~」と副題のついた山地啓司先生の文(連載第1回)

この文中には、中・長距離研究会の成立の経緯が書かれている。
昭和47(1972)年頃、山地啓司氏が
当時のリッカー陸上部監督の布上氏と浜松北高校陸上部顧問の山本氏の
両氏からの疑問や問いかけに触発され科学的トレーニングを
山西先生と相談した結果、
「ランナー(中長距離)に関する総合的な研究討議」の場をつくることになり、
昭和48(1973)年6月頃に発足した。
毎月定例会を開き、当初6~7名でスタートしたが、
陸上競技マガジンでの連載開始当時は会員数30~40名にもなっていたと言う。


※3 前年の2部優勝校と言えどもレベル的には全く歯が立たなかった

一部の群大の選手には、入賞し得点を稼ぐ可能性を有していた。
前年2部でやり投げに優勝した須藤浩通先輩などは、
その時の記録なら1部でも2~3等相当であったが、
1部にあがった4年時は不調に陥ってしまっていた。
また、同じく期待された征矢英昭先輩(現筑波大学教授)は、
10種競技の走り幅跳びの着地に失敗し、足を骨折してしまい、
当然のことながら期待されていた入賞=得点は不可能になってしまった。


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(この記事は、2011年1月6日に一部修正しました。)
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Author:フィジカル系職人
職業:マッサージ・鍼治療院経営
   アスレティックトレーナー
生息地:群馬
本名:佐藤 暢彦

身体のこと、治療のこと、スポーツのこと、などなど。日頃考えていること、興味を持っていることについて、書いていきたいと思います。

このブログについて:更新作業は治療室内のMacで行なっていますので、早朝や深夜、休業日の木曜に更新されることは基本的にありません。



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